障害福祉サービス(障害者総合支援法・児童福祉法)
(1)サービス体系
ア 障害者総合支援法
障害者総合支援法に基づく障害福祉サービスには、介護の支援を受ける「介護給付」と訓練等の支援を受ける「訓練等給付」があり、それぞれ利用の際の条件や手続きが異なります。
支援が必要な状態や懸案すべき事項をふまえ、個別に支給決定が行われます。
介護給付
サービスの名称 | サービスの目的・内容 | 利用する際の条件 |
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居宅介護 |
自宅で入浴、排せつ及び食事等の介護、調理、洗濯及び掃除等の家事援助を行う |
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重度訪問介護 | 重度の肢体不自由者又は重度の知的・精神障害により行動上著しい困難を有する方であって常時介護が必要な方に、居宅で入浴、排せつ及び食事等の介護、調理、洗濯及び掃除等の家事援助、外出時における移動中の介護を総合的に行う |
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同行援護 | 視覚障害により、移動に著しい困難を有する方に、外出時に同行し、移動を援護するとともに外出時において必要な援助を行う |
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行動援護 |
知的・精神障害により行動上著しい困難があるために常時介護が必要な方に、行動する際に生じる危険を回避するために必要な援護、外出時の移動中の介護や排せつ、食事等の介護及び行動する際の必要な援助を行う |
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療養介護 | 医療と常時介護が必要な方に、医療機関で機能訓練、療養上の管理、看護、医療的管理下における介護及び日常生活上の世話を行う |
・障害支援区分6のALS患者等、気管切開を伴い人工呼吸器を使用している者 ・障害支援区分5以上で次のいずれかに該当 ア重症心身障害者又は筋ジストロフィー患者 イ医療的ケアスコア16点以上 ウ行動関連項目10点以上で医療的ケアスコア8点以上 エ遷延性意識障害者で医療的ケアスコア8点以上 |
生活介護 | 常時介護が必要な方に、昼間、入浴、排せつ及び食事等の介護を行うとともに、創作的活動又は生産活動の機会の提供を行う |
・障害支援区分3(施設入所する場合は区分4)以上、50歳以上の場合は区分2(施設入所の場合は区分3)以上 |
短期入所 |
介護者等の疾病その他の理由により、短期間、施設に入所し、入浴、排せつ及び食事等の介護その他の必要な支援を行う |
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重度障害者等 包括支援 |
常時介護が必要な方で、意思疎通を図ることに著しい支障がある方のうち、四肢麻痺及び寝たきりの状態にある方、知的・精神障害により行動上著しい困難を有する方に、居宅介護等複数のサービスを包括的に行う |
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施設入所支援 | 施設に入所する方に、夜間や休日、入浴、排せつ及び食事等の介護、その他の必要な日常生活上の支援行う |
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訓練等給付
サービスの名称 | サービスの目的・内容 |
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自立訓練 |
自立した日常生活又は社会生活ができるよう、一定期間、身体機能、日常生活能力の維持・向上等のために必要な訓練を行う |
就労移行支援 | 就労を希望する65歳未満の方又は65歳以上の方(65歳に達する前日において就労移行支援受給者に限る)であって、一定期間、就労に必要な知識及び能力の向上のために必要な訓練、就職後における職場への定着のために必要な相談等を行う |
就労継続支援A型 |
一般企業等に雇用されることが困難な方のうち、雇用契約に基づき、継続的に就労することが可能な65歳未満の方又は65歳以上の方(65歳に達する前日において就労継続支援A型受給者に限る)に就労に必要な知識及び能力の向上のために必要な訓練を行う |
就労継続支援B型 | 一般企業等に雇用されることが困難な方のうち、就労経験があってその年齢、心身の状態、その他の事情により就労が困難となった方、就労移行支援によっても一般企業等に雇用されることに至らなかった方に、生産活動等の機会の提供や就労に必要な知識及び能力の向上のために必要な訓練を行う |
就労定着支援 | 生活介護、自立訓練、就労移行支援又は就労継続支援を利用して、一般企業等に新たに雇用された方の就労継続を図るために、企業、障害福祉サービス事業者等との連絡調整、雇用に伴い生じる日常生活又は社会生活を送る上での相談、指導及び助言等の必要な支援を行う |
自立生活援助 |
居宅で自立した日常生活を送る上での問題につき、定期的な巡回又は随時通報による訪問、相談対応等により、必要な情報の提供及び助言並びに相談、関係機関との連絡調整等日常生活を送るための環境整備に必要な援助を行う |
共同生活援助 | 夜間や休日において、共同生活を送る住居において相談、入浴、排せつ、食事などの介護及び日常生活上の援助を行う |
相談支援
サービスの目的・内容 | |
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計画相談支援 | 障害福祉サービスの利用に関する意向、その他の事情を勘案し、利用サービスの種類や内容を記載したサービス等利用計画の作成を行う。計画については一定期間ののち、評価、見直し(モニタリング)を行い、きめ細やかな支援の提供につなげる |
地域移行支援 | 障害者支援施設等に入所している方又は精神科病院に入院している方に対して地域生活へ移行するための相談、住居の確保、福祉サービスの情報提供等の支援を行う |
地域定着支援 | 居宅で単身生活等を送る障害のある方に対し、常時の連絡体制を確保し、障害の特性に起因して生じた緊急の事態等に相談、その他必要な支援を行う |
イ 児童福祉法
サービスは障害の程度や懸案すべき事項をふまえ、個別に支給決定が行われます。
障害児通所支援
サービスの名称 | サービスの目的・内容 | 利用する際の条件 |
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児童発達支援 | 日常生活における基本的な動作の指導、知識技能の付与、集団生活への適応訓練等を行う | ・療育が必要と認められる未就学の児童 |
医療型児童発達支援 | 日常生活における基本的な動作の指導、知識技能の付与、集団生活への適応訓練に加えて、治療を行う。 |
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放課後や休業日において、生活能力の向上のために必要な訓練、社会との交流の促進等を行う |
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居宅訪問型児童発達支援 | 居宅を訪問し、日常生活における基本的な動作の指導、知識技能の付与、集団生活への適応訓練等を行う | ・重度の障害の状態にあり、児童発達支援、医療型児童発達支援又は放課後デイサービスを受けるために外出することが著しく困難であると認められた児童 |
保育所等訪問支援 | 障害児以外の児童との集団生活への適応のための専門的な支援を行う |
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障害児相談支援
サービスの名称 | サービスの目的・内容 |
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障害児相談支援 | 障害児通所支援を利用する児童について障害児支援利用計画の作成を行う。計画については一定期間ののち、評価、見直し(モニタリング)を行い、きめ細やかな支援の提供につなげる |
(2)障害福祉サービス利用の手続き
サービスの流れ
相談・申請→障害支援区分一次判定→障害支援区分二次判定→計画相談→支給決定→サービスの利用→モニタリング調査または利用計画作成
サービスの説明
相談・申請 | サービスについて相談・申請を行います 市役所や相談支援事業所に利用したいサービスについて相談します。利用内容について決まったら申請します。 |
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障害支援区分一次判定 | 聞き取り調査を行います 申請者の状況を確認するために調査員が申請者に聞き取り調査を行います。 |
障害支援区分二次判定 | 障害支援区分を判定します 申請者の主治医の意見書と一次判定の結果をあわせて、長野広域連合の審査会で障害支援区分の判定を行います。 *訓練等給付を利用する場合、または障害児は二次判定を行いません |
計画相談 | 関係者が集まり、サービス内容についての確認をします 本人を含む関係者で会議を行い、サービス等利用計画案を作成します。 |
支給決定 | サービスの種類や支給量などを決定します 障害支援区分、利用の意向、生活状況等を勘案して支給決定するとともに、利用者負担上限額を記載した受給者証を交付します。 |
サービスの利用 |
利用したい事業所と契約を締結し、サービスを利用します 交付された受給者証を提示してサービス利用に関する契約を締結し、利用します。 負担上限額がある場合は、契約締結した事業所に利用者負担額を支払います。 |
利用計画作成 またはモニタリング調査 |
モニタリングまたはサービス等利用計画案の作成を行います サービス支給決定期間内はモニタリングにより利用状況を確認します。 サービス支給決定期間終了期には再び利用計画案を作成します。
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(3)障害福祉サービスを利用したときにかかる費用
原則、サービスにかかった費用の1割(定率負担)と施設での食費や光熱費などの実費負担が生じます。ただし、低所得の方に配慮した軽減策が講じられています。
■利用者負担の認定
(利用者負担の認定を受けるには、市役所に申請書の提出が必要です。)
- ①負担上限月額設定(所得段階別)
- ②高額障害福祉サービス費(世帯での所得段階別負担上限)
- ③医療型個別減免
- ④食費の軽減措置
- ⑤家賃の一部助成
- ⑥補足給付(食費・光熱水費の負担を軽減)
- ⑦生活保護への移行防止(生活保護の対象となる場合、負担額を引き下げる)
適用基準 | 適用範囲 |
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ホームヘルプ利用者 | ①負担上限額設定(所得段階別)②高額障害福祉サービス費(世帯で所得段階別負担上限)⑦生活保護への移行防止(生活保護の対象となる場合、負担額を引き下げる) |
通所サービス利用者 | ①負担上限額設定(所得段階別)②高額障害福祉サービス費(世帯で所得段階別負担上限)④食費の軽減措置⑦生活保護への移行防止(生活保護の対象となる場合、負担額を引き下げる) |
グループホーム利用者 | ①負担上限額設定(所得段階別)②高額障害福祉サービス費(世帯で所得段階別負担上限))⑤家賃の一部助成⑦生活保護への移行防止(生活保護の対象となる場合、負担額を引き下げる) |
入所施設利用者 | ①負担上限額設定(所得段階別)②高額障害福祉サービス費(世帯で所得段階別負担上限)⑥補足給付(食費・光熱水費の負担を軽減)⑦生活保護への移行防止(生活保護の対象となる場合、負担額を引き下げる) |
療養介護サービス利用者 |
①負担上限額設定(所得段階別)③医療型個別減免⑦生活保護への移行防止(生活保護の対象となる場合、負担額を引き下げる。 |
- 【利用するサービス別の利用者負担上限月額】
- ■生活保護(生活保護受給世帯)・低所得(市町村民税非課税世帯)には負担はありません
- ■市町村民税課税世帯で所得割16万円未満のホームヘルプ・通所サービス利用の障害者 及び20歳未満の入所施設・療養介護サービス利用者の負担は9,300円を上限とします
- ■市町村民税課税世帯で所得割28万円未満のホームヘルプ・通所サービス利用の障害児の負担は4,600円を上限とします
- ■それ以外の療養介護サービス利用者(20歳以上)の負担は37,200円を上限とします
- ○障害福祉サービスの負担上限月額は、世帯の市町村民税課税状況により設定され、ひと月に利用したサービス量にかかわらず、それ以上の負担は生じません。
- ○世帯の範囲は、利用者の年齢によって異なります。
- ・18歳以上の場合(障害者)…本人と配偶者のみ
- ・18歳未満の場合(障害児)…保護者の属する住民基本台帳での世帯
- ・20歳未満の入所施設・療養介護サービス利用者…保護者の属する住民基本台帳での世帯
②同じ世帯のなかで複数の方がサービスを利用しても、利用者負担上限月額は同じです。
○同じ世帯(18歳以上の場合は本人と配偶者、18歳未満の場合は住民基本台帳での世帯)に障害福祉サービスを利用している方が複数いる場合の利用者負担の合計や、障害福祉サービスを利用している方が介護保険のサ一ビスも利用した場合の各サービス利用者負担の合計が基準額(37,200円※)を超えた場合、超えた額を高額障害福祉サービス費として支給します。(償還払い方式によります。)
利用者負担上限月額が「0円」の方は、高額障害福祉サービス費は支給されません。
※「基準額」は受給者証の「負担上限額」と異なる場合があります。また障害児世帯は特例があります。
③療養介護サービスを利用する場合、医療型個別減免があります。
○療養介護サービスを利用する方は、年齢及び収入に応じて障害福祉サービス費、医療費及び食事療養費の負担上限額を設定します。
④通所サービスを利用する場合、食費の軽減措置があります。
○生活保護、低所得及び一般1の区分の方は、食材料費のみの負担となります。なお、食材料費は施設ごとに額が設定されます。
⑤グループホームを利用する場合、家賃の一部を助成します。
○生活保護及び低所得者の区分の方は、月額1万円を上限として家賃の一部を助成します。家賃が1万円未満の場合は、該当家賃の額を助成します。
⑥入所施設を利用する場合、食費・光熱水費の軽減措置があります。
- ○20歳以上で生活保護及び低所得の区分の方は、年齢及び収入に応じて食費・光熱水費の軽減措置として、補足給付(特定障害者特別給付費)を支給します。
- ○20歳未満の方は、地域で子どもを養育する費用と同様の負担になるように食費・光熱水費の軽減措置として、補足給付(特定障害者特別給付費)を支給します。
⑦生活保護への移行防止
○様々な負担軽減策を講じても、自己負担や食費等の実費を負担することによって生活保護の対象となる場合には、生活保護の対象とならない額まで負担額を引き下げます。
①~⑦以外の利用者負担の認定
- ○多子世帯の場合、障害児通所給付費について軽減措置があります。
- ・未就学児童が複数いる世帯等を対象として、二子目以降の障害児通所給付費の一割負担について、軽減措置があります。
- ○児童発達支援等の利用者負担額が無料になります。
- ・未就学児童について、満3歳になって初めての4月1日から小学校入学までの3年間、児童発達支援、保育所等訪問支援等について利用者負担が無料となります。(利用者負担以外の費用(医療費や食費等、現在実費で負担しているもの)は除く。)
■利用者負担上限月額の認定等を受ける際に必要となる書類
世帯の収入状況 | 申請書が必要となる利用者 |
①利用者負担額認定等申請書(様式1号) | ホームヘルプ・通所サービス利用者(障害者)(障害児※1)、グループホーム利用者、入所施設利用者(20歳以上)(20歳未満)、療養介護サービス利用者(20歳以上※2)(20歳未満) |
②世帯・収入状況等申告書(様式27号) | 入所施設利用者(20歳以上)(20歳未満)、療養介護サービス利用者(20歳以上)(20歳未満) |
③工賃等証明書(施設が発行する証明書) | 入所施設利用者(20歳以上)(20歳未満) |
④本人の年金証書の写し | 入所施設利用者(20歳以上)、療養介護サービス利用者(20歳以上) |
⑤本人の健康保険証の写し | ホームヘルプ・通所サービス利用者(障害児※3)、療養介護サービス利用者(20歳以上)(20歳未満) |
- ・すべての福祉サービス利用者には利用者負担額認定等申請書(様式1号)、世帯・収入状況等申告書(様式第2フ号)が必要です。
- ・入所施設利用者(20歳未満)には、それに加えて世帯の収入状況として工賃等証明書(施設が発行する証明書)が必要です。
- ・入所施設利用者(20歳以上)には、それに加えて世帯の収入状況として工賃等証明書(施設が発行する証明書) 及び本人の年金証書が必要です。
- ・療養介護サービス利用者(20歳以上)には、それに加えて 本人の年金証書及び本人の健康保険証の写しが必要です。
- ・療養介護サービス利用者(20歳未満)には、それに加えて 本人の健康保険証の写しが必要です。
- ※1二子目以降の障害児通所給付費の軽減措置をふける場合は、未就学児である兄姉の在園証明が必要です。
- ※2グループホームの家賃の助成を受ける場合は家賃額を証明できる書類が必要です。
- ※3医療型児童発達支援を利用する場合は、児童の健康保険証の写しが必要です。
注意事項
- ・介護保険制度を利用できる場合は、介護保険制度を優先的に利用してください。
- ・生活保護及び低所得者の区分の方は、65歳になるまでに5年以上、特定の障害サービスを利用していた場合に、介護保険移行後に利用した障害福祉サービスに相当する介護保険サービスの利用者負担を高額障害福祉サービス費として支給します。(償還払い方式によります)